【未使用新品】 QUAD純正 QELCLPK ESL57保護回路基盤キット(ペア、マニュアル、元箱付) ☆ MARK LEVINSON 工場 、KRELL

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出品は、1980年代末に QUAD社より発売されたESL57用の保護回路基盤キットQELCLPKの【未使用新品】。

取付と配線方法はマニュアル(英文)に明記されている。

QELCLPKとは QUAD ELECTROSTATIC LOUDSPEAKER CLAMP LOUD PROTECTION KITの略号。

MARK LEVINSONが一時期、自家用スピーカーとしてQUAD製コンデンサースピーカーESL57を愛用していたことが公表されたのをきっかけに、QUAD-ESL57は「ハイエンド」スピーカーであることが再認識され再評価された。以降、 KLELL等のソリッド・ステート型ハイエンド・アンプ群で ESL57をドライブするという温故知新スタイルが世界的に流行した。問題は、組合せるアンプがハイパワーだと、保護回路を持たないESL57に想定外の過大入力が流れ込み、大負荷状態「OVER DRIVING」が生じ、音が歪んだり、振動板に穴が開いたりする事故が起きる可能性が大きくなるということ。一度振動板に穴が開けばピンホールと言えども当該ユニットをそっくり交換しなければならない。ESL57を駆動する時、使用パワーアンプのピークは50Wを超えてはいけない。

QUAD社は解決策としてESL57の次世代発展型モデルとして過大入力への保護対策回路を搭載したESL63を市場に投入した。しかしながら、ESL57の通力に気付いていた一部のマニアはESL63を良しとしなかった。事実、ESL57とESL63は全くの別物である。振動板の厚みが57と63では異なる。57よりワイドレンジ=広帯域を目指した63は、57よりも軽く、即ちトランジェントの良い「薄い」振動板を採用した。「重い」振動板を採用している57と「軽い」振動板を採用した63の音味は、だから異なるのである。2種類の音味の長所短所は丁度「トレードオフ」の関係だと云える。優劣ではない。しかしながら、かの「分厚い響き、豪快な音味」に魅了された57の愛好家達(一部の慧眼)は、63のそれなりの音味に心は動かされなかった。57から63に乗り換えたマニアが63に失望し、手放した57を再び買い戻すというお決まりの行動パターンには余程の理由があるのである。「トレードオフ」で失ったものは、得たものより遥かに価値あるものだと気付かされる事がままある。優劣ではないとしても説明し難い。これを「魔力」と言う。 経験値の高いベテラン・マニアなら63と57を比較試聴すれば蓋し57に軍杯を挙げるだろう。そうしたESL57フリークの要望にQUAD社が応え、もう一つの解決策として提案したのがESL57追加オプション基盤である本品「QELCLPK」である。所謂単純なリミッター様式ではなく、ピーク値33Vを超える過大入力信号を、QUAD(Peter Walker)流の洗練された回路で音質に影響を与えずに巧く処理出来ると言うもの。発売から半世紀以上を経過しても尚色褪せない革新的スピーカーであるQUAD-ESL57は、それを巧く整備し、鳴らす事ができれば、ウエスタンのスピーカー群と肩を並べるほどの豪快な超絶パフォーマンスと心地よい満足感が得られる。

QUAD-ESL57というスピーカーは、旧QUAD製純正アンプでドライブさせる限りではパワー不足は全く感じない。QUAD22+IIでは、僅か15Wそこそこの出力でも豪快に鳴り響く。QUAD33+303では50Wの出力で盛大に歌う。QUAD405(100W出力)、QUAD606(100W出力)やハイエンド「ハイパワー」アンプでドライブするには本品が「安全対策」として必要となる。一般的にいえば20W程度のアンプであれば正常なQUAD-ESL57ならば充分かつ問題なく鳴らせる。もし上手く鳴らないとしたら、スピーカー本体回路のCR素子の劣化で本来出るべき音圧が出せない異常個体というのがその理由である。巷間「QUAD-ESL57は、低能率で大音量には向かない、神経質な響き」などと揶揄する声がある。これは個体差を全く認識理解出来ていない輩の誤謬である。正常個体の音を一度も聴いた事がない者の妄想に過ぎない。5000ボルトもの高電圧回路で極薄振動板を駆動するコンデンサー・スピーカーは整備が重要な鍵を握る。よく整備されたQUAD-ESL57を前提として、ハイエンド・アンプでドライブする「夢の別世界」体験を目論む向きは本品が必須となる。

保護回路基盤キット=QELCLPKは欧米で幾つかのサードパーティ製品が出回っているが、本品は珍しいQUAD社の純正品。基盤表裏両面には永年使用によるホコリと湿気で回路がショートしないよう天然由来の「蜜蝋」が塗布されている。斯様な濃やかな気遣いはサードパーティの物には見られれない。この心遣いはPeter Walker氏(1916~2003)が居た頃の「QUAD」流儀である。この機会をお見逃しなく。

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